宅建士合格ブログVol.17<売買契約:解除・担保責任>

<売買契約の解除>

不動産取引における売買契約は、原則解除する(契約が無かったことにする)ことは出来ません。

しかしながら、一定の条件のもとでは解除することが可能です。

一旦契約をした後に、やっぱり止めた、と考えることはあるからです。

この場合、買主は売買契約で定めた手付金を放棄することで契約を解除することが出来ます。

他方、売主は買主から受領した手付金の倍額を買主に支払うことで契約を解除することが出来ます。(民法557条)

ただ、ここで注意したいのは、どんな場合でも上記の条件を満たせば契約を解除出来るのか?と言う点です。

「相手方が契約の履行に着手した後」では契約の解除は出来ないことに注意しましょう。(民法557条)

では、「契約の履行の着手」とはどういう状態なのか。

最も一般的なのは「代金の支払い」です。買主が手付金のほかに「内金」、「中間金」を支払ったような場合は売主は契約を解除することは出来ません。

他方、売主が買主のために「所有権移転手続きの着手(司法書士に必要書類を提出した)したような場合は買主は契約を解除することは出来ません。

買主がその資金調達に銀行ローンを利用するような場合、ローンが承認になり金消契約を締結しているような場合も「履行の着手」になると思われます。

<売主の担保責任>

不動産売買の場合、売主はその目的物(不動産)を予定された数量・品質を満たす状態で買主に引き渡す責任があります。

これらが満たされない状態で取引をした場合に「売主の担保責任」が発生します。

例えば、土地の一部が他人のものであったとか、建物に欠陥があった(雨漏り、土台の傾きetc~)と言うような場合が該当します。

売主は買主に対して責任を負うことになりますが、他方買主は売主に対して①損害賠償請求②代金減額請求③契約の解除などを求めることが出来ます。

この場合、注意したいのは買主が対象不動産の欠陥について善意(知らなかった)か悪意(知っていた)によって要求できることが異なります。

売主の担保責任については以下の6つの類型に分類されます。

①全部他人物売買(例:土地の全部が他人もものであった)

②一部他人物売買(例:土地の一部が他人のものであった)

③数量不足(例:取引した土地の面積が契約内容より少なかった)

④用益権の付着(例:取引した土地に借地権がついていた)

⑤担保物件の実行(例:取引した土地に抵当権がついており競売を申し立てられた)

⑥瑕疵担保責任(例:売買した住宅に瑕疵があった)・・・買主が善意無過失の場合

これらの担保責任は、買主が悪意か善意かによって売主に対して要求できる内容が異なります。また、要求できる期間(権利行使期間)も異なりますのでテキストできっちり覚えてください。

なお、買主が善意の場合はほとんどにおいて損害賠償、代金減額請求、契約の解除が出来るのに対して、悪意の場合はかなり限定的ですので試験対策としては悪意の買主が出来ることを優先的に覚えることです。

<問題:平成29年度宅建士試験問題>

「Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の仲介を依頼し報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。売買契約が締結された際に、Cが解約手付として手付金10万円をAに支払っている場合には、Aはいつでも20万円を償還して売買契約を解除することが出来る。」

<解答:解答:✕(誤り)>

売買契約は不動産のみならず自動車のような動産の売買でも当然成立し法律関係は同じです。

問題中の「いつでも」と言うのが間違い。

解約手付が交付された場合、売主・買主双方が契約を解除出来るのは「相手方が契約の履行に着手する前」までです。

この場合は、買主Cが自動車ローンを申し込み、銀行から借入しすでに支払代金の準備が出来ているような場合が「履行の着手」に相当するものと思われます。