宅建士合格ブログVol.16<売買契約:債務不履行>

<同時履行の抗弁権と債務不履行>

不動産取引の要となるのが売買契約です。

契約は口頭でも民法上は有効ですが、不動産取引は高額になることが多く必ず書面で契約を取り交わします。

この売買契約を締結すると当事者双方はお互いに「債権」を有することとなります。

「債権」とは、特定の人に特定の行為を請求する権利のことを言います。

債権を有した当事者は同時に「義務」も負担することとなります。

権利の面から考えると、不動産売買契約の場合は、売主は「買主に売買代金を請求する権利」であり、買主は「売主から不動産を引き渡して貰う権利」となります。

義務の面から考えると、売主は「買主に不動産を引き渡す義務」、買主は「売主に売買代金を支払う義務」と言うことになります。

つまり、契約はその義務を履行しなければ権利(債権)を主張することが出来ないのです。

不動産取引の場合、売主・買主双方の義務を果たすことで売買が成立しますが、一方が義務を果たさないとどうなるか?

買主が売買代金を支払わない(義務を果たさない)としたら、売主も不動産を引き渡す義務を負う必要はありません。

これを「同時履行の抗弁権」と言います。

義務を果たさないことを「債務不履行」と言いますが、これには3つの類型があります。

①履行遅滞:義務の履行期限を過ぎても義務を果たさないこと(引渡し日が来たのに引き渡さない等)

「相手方の対応」

(a)債務の履行を請求出来る。(引渡しを請求できる。引き渡しが遅れたことで生じた損害も請求できる。)

(b)買主の判断で契約を解除することが出来る。

②履行不能:義務の履行が不可能になること(引き渡す予定の住宅が火災で焼失した等)

「相手方の対応」

(a)直ちに契約を解除出来る。併せて損害賠償も請求出来る。

③不完全履行:義務の履行の一部が出来ないこと(完成していない住宅を引き渡された等)

「相手方の対応」

(a)完全な履行が出来る場合は、完全な履行を請求することが出来る。併せて損害賠償の請求も出来る。

(b)完全な履行が出来ない場合は、直ちに契約の解除をすることが出来る。併せて損害賠償も請求出来る。

*「債務不履行」が成立する要件として「債務者の帰責事由(債務者に責任があること)」が必要です。

債務者に責任が無い場合は債務不履行にはならないのです。

例えば、契約して引き渡す予定であった住宅が落雷による火災で焼失したような場合は、債務者(売主)に責任が無いので債務不履行にはなりません。

<問題:平成24年度宅建士試験問題>

AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない)ため、返済期限が経過してしまった場合、Bは債務不履行には陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。

「解答:✕(誤り)」

これは、宅建士の問題でなくても一般論として見た場合でも明らかに✕ですね。

例えば、住宅ローンを借りていて毎月の給料で返済していた場合、給料が遅配(会社の都合で借りた人の責任ではない)になって返済が遅れた場合に、銀行に「俺のせいじゃないから遅れた分の損害金は払わない」と言えますかね。

金銭消費貸借の場合、特別な契約でもないかぎり弁済期限が到来して返済が遅れたら「履行遅滞」になるのです。

よって解答は✕となります。

この問題は「Bの責めに帰すべき事由がない」と言う文言が不動産取引の債務不履行を連想させるひっかけ問題です。