宅建士合格ブログVol.15<民法:物権変動(抵当権②)>

●抵当権の4つの性質

以下は直接問題として出ることはほとんど無いのですが、抵当権を理解するうえで覚えておくべきです。

①付従性:抵当権は「被担保債権(抵当権の担保の対象となる債権のこと)」が成立しなければ成立しない。当たり前です。担保となる債権が無ければ抵当権も発生しないからです。

②随伴性:被担保債権が譲渡されると抵当権も一緒に移転する。債権は譲渡することが可能で、その債権に付いていた抵当権も同時に譲渡された側に移転します。

③不可分性:債権が全額弁済されない限り、抵当権は目的物のすべてに及ぶ。例えばローンが半分に減っていたとしても抵当権そのものは目的物(ローンで土地建物を担保にした場合は)土地建物すべてに効力が及びます。

④物上代位性:抵当権の目的物が金銭などの別の価値に変わった場合でもその効力が及ぶ。例えば抵当権の目的物である住宅が火災で焼失し所有者が保険金の支払いを受ける、と言うような場合に抵当権はその保険金にも効力が及びます。(保険金が支払われる前に差し押さえる必要があります。)

●法定地上権

「ほうていちじょうけん」宅建士の試験でもあるいは不動産実務でもお目に掛かる言葉ですから必ず覚えてください。

AさんはBさんからお金を借りて土地建物を購入しました。債権者であるBさんは土地だけに抵当権を設定しました。その後、Aさんの返済が滞ったことからBさんは抵当権を実行してCさんが土地の所有者となりました。Cさんは土地の所有権があることを理由にAさんに建物の撤去を要求して来ました。

こうした事例の場合に、Aさんに「法定地上権」を取得することとなり、Cさんの主張を拒むことが出来るのです。

この「法定地上権」が成立する要件として

①抵当権設定時、土地の上に建物が存在した。

②抵当権設定時、土地・建物の所有者が同一であった。

③抵当権の実行により、土地と建物の所有者が別々になった。

の3つの要件を満たしていることが必要です。

よって、土地に抵当権を設定した後に建物が出来た場合には法定地上権は成立しません。

ただし、抵当権者は抵当権を実行する際には土地と建物を一括して競売できるとされています。(民法389条)

●抵当権消滅請求

抵当権が設定された不動産は抵当権者の承諾がなくても売却することが出来ます。(銀行が抵当権者の場合などは事前の承諾が必要とされていることがほとんどですが)。

抵当権が設定された不動産を購入した人を「抵当不動産の第三取得者」と言います。

この場合、抵当権設定者はそのままであり仮に債務があって返済が滞ったりすると、抵当権者は抵当権を実行(競売)することが考えられます。

抵当権が実行されると抵当不動産の第三取得者は所有権を失うことになります。

そこで、第三取得者を保護するため、「抵当権消滅請求」という制度が設けられています。(民法379条)

この制度(法律)の内容は以下の通りです。

①抵当不動産の第三取得者は、一定の代価を支払うことにより抵当権を消滅させるよう抵当権者に書面にて請求できる。

②抵当権消滅請求は、競売による差押えの効力が発生する前に行わなければならない。

③抵当権者は、第三取得者からの抵当権消滅請求を回避するためには、その書面を受け取った日から2ヵ月以内に抵当権を実行しなければならない。

●抵当権消滅請求(代価弁済)

抵当権者は第三取得者に対して、抵当権を抹消する代わりに一定の金額を支払うよう請求することが出来るのが代価弁済と言う制度ですが、複数の抵当権が付されているような場合、第一順位抵当権が代価弁済によって消滅しても、後順位抵当権は残るので第三取得者にとってあまりメリットのある方法ではありません。

<問題:平成28年度宅建士試験問題>

Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することが出来る。

「解答:✕(誤り)」

文章を良く読む必要のある問題ですね。抵当権を設定したのは「甲土地」であって「土地上の建物」に抵当権を設定したとは書いてないんですね。結局、抵当権を設定していない建物が火災で焼失しても、その保険金を物上代位で請求することが出来ないと言うことになります。(ひっかけ問題です。)