宅建士合格ブログVol.12<民法:物権変動(登記)①>

「物件変動」の問題は出題頻度はそれほど高くはありません。

過去10年で3問出題されただけですので、ここでは「登記」による権利の主張と第三者との関係について理解を深めてください。

物権変動の物権」ってなに?

そもそも財産に関する権利には物権と債券に分けられます。

物権とは「物に対する権利」のことで、所有権、地上権、抵当権などが該当します。

これに対して「債権」とは、特定の人が他の者に対して一定の行為を要求出来る権利のことで、貸したお金の返済請求や、土地の売買で代金を支払った買主が売主に対して土地の引き渡しを要求する行為などを言います。

宅建士試験の学習では不動産の物権変動が中心になります。

不動産の物権変動で一般的なのが「所有権の移転」です。土地建物を売買すると売主から買主に所有権が移転します。

この移転する権利は、原則として「登記」をしなければ自分の権利を主張することが出来ないのです。

「登記」は不動産の所在地を管轄する法務局で手続きする必要があります。この手続きによって真正な権利者が確定し第三者に対抗することが出来るようになるのです。

因みに「登記には公信力がない」と言うことを知っておきましょう。

不動産を登記すると「登記簿謄本」(登録事項証明書)が発行されます。

そこには、不動産の所有者や不動産に付いている権利などが記載されています。

が、しかし。登記簿はこの所有者や権利関係の事実を保証するものではないのです。

えー、国家機関が手続きしたものを信用できないなんてあるのぉー、と思いませんか?

私も最初はそう思いました。

でも、法務局の登記手続きと言うのは書面のみで行われており、登記官(登記に関する権限をもつ人)や事務官は対象不動産の所有者や権利者と面談するなどはしません。また真の所有者・権利者は誰か?などと言うことも考慮しないのです。

通常の登記は本人の確認書類や権利証などを提示させて登記しますから、その登記が真の権利者と異なっていることはほとんど無いのですが、まれに書類の偽造とか売買の偽装などもあるのです。

あるいは、登記簿謄本を取得した後に権利が移転してしまうこともあります。謄本を取得した時期に対象不動産の取引が進行している場合もあるのです。

つまり、登記された事項は常に変動する可能性がある、と言うことを念頭に置いてください。

不動産取引をする場合は、取引直前の謄本を取得すること。現地確認や取引の相手方の本人確認を確実に行うことなのです。個人間での不動産取引も可能ですが、こうしたリスクを避けるためにもプロである宅建業者に依頼することが大切なのです。(宣伝です(*^^)v)

前置きが長くなりました。

不動産取引をした場合は、その権利を主張するためには原則「登記」が必要であることは説明しました。

この「原則」と言うのは、取引の当事者(売主・買主)間では、登記をしなくても買主は売主に自身が所有者であることを主張出来ますが、取引外の第三者には「登記」をしなければその権利を主張することが出来ません。

ですから、登記をしなければ登記簿謄本上の所有者は取引の売主のままなのです。

仮に不動産取引の売主をA、買主をBとしたとき。登記簿謄本を見たCがAにその不動産を売ってほしいと言ってAがCに売却してしまったような場合。(Aは当然悪意です。)

登記がBに移転していないためAが所有者と信じたCが善意無過失だった場合・・・。

こうした事例を不動産の「二重譲渡」と言います。

この場合、Cが所有権移転の登記を完了してしまうとBは所有権の主張をすることが出来ないのです。

また、買主Cが売主Aと買主Bとの間に売買契約が存在していたことを知っていた場合でも、Cが先に登記をした場合でも所有権はCのものになるのです。

*この場合、BはAに対して契約違反(債務不履行)で訴えるようなことが考えられますが・・・。

二重譲渡の場合は登記を先に済ませた者が権利を主張することが出来ると言うことです。

また、下記の相手方に対しては二重譲渡以外にも登記をしなければ権利を主張出来ません。

①取消後の第三者(制限行為能力者との取引で後見人がその取引を取消したような場合)

②時効完成後の第三者

③解除前後の第三者(契約不履行などで取引そのものが解除されたような場合)

④賃借人

*これらの事例は必ずテキストに記載されていますので内容をきちんと理解しておきましょう。

<問題:平成22年度試験問題>

AがBから土地を購入したところ、甲土地の所有者を名乗るCがAに対して連絡してきた。Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成している時には、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。

<解答:正しい>

上記②のように「時効完成後の第三者」に対しては登記がなければ権利を主張できないのですが・・・。

設問の場合Aは「時効進行中」に所有権を取得しているので、時効完成後のAはCにとって「第三者」ではなく「当事者」となるのです。

よって、当事者間では登記の有無に関係なくCはAに対して所有権を主張することが出来ます。

これが時効完成後に所有権がAに移転したのであればCは登記をしなければAに対して所有権を主張出来ません。