宅建士合格ブログVol.10<民法:時効①>

時効とは?

日常的には、「そんな昔の話なんか時効だわ」なんて使い方をしますが。

法律で言うところの「時効」とは、簡単に言えば「継続した事実にたいして一定の法律効果を与えるもの」。

卑近なところでは、居酒屋の飲み代をつけにしておくと、お店の方が請求も何もしなければ、その請求権は1年で消滅します。飲んだ方は払わなくても良いのです。(ただ、この「請求」は単に払ってくれ、とか請求書を出すだけではダメで法的に有効にする方法は別です。)

*この時効期間は今年あたりの民法改正で「5年」になる、と言われてます。

ここでは、民法上の時効の2形態である取得時効消滅時効について解説します。

取得時効とは?

一定期間、他人の物を所有する意思を持って一定期間占有し続ければ自分のものにになる。

「物」は動産でも不動産でも良いのですが、動産の場合は「即時取得」(民法192条)が適用されるので、時効が問題になる場合はほとんどありません。

「占有」とはその物を「自分の支配下に置く状態」を言います。

土地などの不動産を、他人の土地であると知っていても知らなくても、一定期間占有し続ければ自分のものになるのです。

逆に言えば、他人に自分の土地を占有されて、一定期間何もしないで放置する(権利の上に眠る)ような人は法の保護に値しないとも言えますね。

時効によって取得する権利は、所有権だけではなくて地上権、地役権、賃借権などにも適用されます。

<取得時効の要件>:何年で自分の物になる?

①占有を開始した時点で善意無過失→10年

②占有を開始した時点で悪意有過失→20年

*善意は他人の財産であることを知らなかった、無過失は知らないことに過失が無かった。

*①の場合、占有を開始した後で他人の物であることに気づいても20年ではなく10年で時効が完成します。

なお、権利を時効取得するためには、占有が「平穏かつ公然」に行われることが条件です。

平穏とは?・・・占有者が暴行脅迫などの違法な行為を行わずに占有することを言います。

公然とは?・・・占有していることを真の所有者にことさら隠蔽しないことを言います。

<占有の継承>

占有は同一人物か継続しなくても良いことになっています。

例えばAが善意無過失で5年間他人の土地を占有し、その後Bが悪意で5年占有するとBはその土地を時効取得できるのです。(占有期間合計10年)

占有開始時点でAが善意無過失であれば、その後のBの善意・悪意は問題になりません。

<取得時効と登記>

占有者が他人の物を時効で取得した場合の権利関係を説明します。

時効が完成して他人の土地を取得した場合、登記の有無によって第三者への対抗要件に違いがあります。

①数字時効完成に所有者が変わった場合・・登記なしでも第三者に対抗出来る。

②時効完成に所有者が変わった場合・・登記がなければ第三者に対抗できない。

①は時効完成前に所有者が変わっても占有者が他人の土地を一定期間占有する意思をもっていることに変わりがないので、影響を受けないのです。

②時効完成後は、時効取得した者と新しい所有者との二重譲渡(物件変動の項目で説明します)のような関係になるので先に登記を備えた方が権利を主張出来ることになります。

時効取得者は登記なしでも元の所有者に対抗出来ますが、時効取得の利益を得るためには「時効の援用」(権利を主張すること)をする必要があります。

<問題:平成27年度宅建士試験問題>

「Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは時効によって甲土地の所有権を取得することができる」

賃借権とか相続とか面倒くさい言葉が並んでいて紛らわしいですが、取得時効の要件として「他人の物を所有する意思を持って」と言うのがありました。

土地を賃借して賃料を払っていると言うことは「所有する意思が無い」わけですから、例え20年間占有し続けたとしても所有権は取得出来ないのです。

よって設問は✖「誤り」です。