宅建士合格ブログVol.9<民法:代理②>
<復代理>について。
代理人がさらに代理人を選任することを復代理と言い、この代理人を復代理人と言います。
この復代理には以下の特徴があります。
①復代理人は本人の代理人である。(代理人の代理ではない)
②復代理人選任後も代理人は代理権を失わない。
③復代理人の代理権の範囲≦代理人の代理権の範囲。
④代理人の代理権が消滅すれば復代理人の代理権も消滅する。
復代理人は自由に選任出来るわけではありません。と言うのも本人が知らないところで代理人が勝手に復代理人を選任されても困るからです。
なお、代理人でも法定代理人はいつでも自由に復代理人を選任できますが、任意の代理人の場合は以下の条件があります。
<任意代理人が復代理人を選任できる場合>
①本人の承諾があった場合
②やむを得ない事由のあるとき(本人の承諾がなくても選任できる)
なお、復代理人の行為は代理人に及びます。よって復代理人が本人に損害を与えた場合、その責任は代理人が負うことになります。
<無権代理>と<表見代理>
無権代理とは、本来代理権のない者が代理人のふりをして代理行為を行うことを言います。
代理権が無いので、その代理行為は原則無効となります。
ただ、本人が無権代理人の行為を追認した場合は、契約の時点に遡って有効となります。
また、無権代理人と取引をした相手方には、本人に対して追認するか拒絶するかの催告をすることが出来ます。
この場合、期限までに本人が確答しなければ追認拒絶となり契約は無効となります。また、本人への催告は相手方が悪意(代理人が無権代理人であることを知っていた)場合でも行うことが可能です。
取引の相手方は善意(代理人が無権代理人であることを知らなかった)場合は、本人が追認する前であれば契約を取り消すことが出来ます。
*善意と悪意
宅建士の学習に限らず民法の条文には「善意」と「悪意」と言う文言が頻繁に出てきます。
これは「善い」とか「悪い」の善悪の意味ではなくて、ある事実を知らなかった(善意)、知っていた(悪意)と言う意味で使われます。
表見代理とは、無権代理人に代理権があるかのような外観を呈しているような事情があると認められる場合に、その外観を信頼した相手方を保護するために代理権がある場合と同等の法律上の効果を認める制度のことを言います。
この表見代理には以下のパターンがあります。
①代理権を与えていないのに、代理権を与えたように見える状態を本人が作り出した
②代理人が本人から与えられた代理権の範囲を超えて法律行為を行った
③代理権が消滅しているにもかかわらず代理行為を行った
上記の場合、相手方が善意無過失であれば代理行為は有効となって本人に効果が帰属します。
<問題解説:平成18年度試験問題>
「AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。この場合、BがCに対してAは甲土地の売却に関する代理人であることを表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権がないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の土地売買契約は有効となる」
なかなかややこしい。
民法問題の場合、こういう契約の当事者としてA,B,Cと言うのがかなり出てきますので、問題用紙の余白にそれぞれの関係性を矢印で結んで図式化することをお勧めします。
これは上記①に該当するので表見代理の問題です。解答は「有効」か「無効」かどちらかです。
「CはAに代理権が無いことを過失により知らなかった」ここが肝ですね。
表見代理が成立するのは相手方が善意無過失の場合に限られので、契約は「無効」となります。