宅建士合格ブログVol.6<民法:制限行為能力者>
制限行為能力者とは?
普段の生活ではあまり聞きなれない言葉ですが・・・。
未成年者ならどうですか?普段良くお目にかかる言葉ですね。
未成年者は・・・お酒を飲んではいけない、喫煙してはいけない、親の同意がなければ結婚できない等々社会生活上いくつかの制限があります。その制限されるものの中に法律行為があります。
よって未成年者を制限行為能力者と言います。
ただ、この制限行為能力者は未成年だけではありません。
制限行為能力者の種類として・・。
①未成年者
②成年被後見人
③被保佐人
④被補助人
この4つは必須項目ですので、それぞれの内容(対象者と法定代理人)はテキストでしっかり覚えましょう。
ただ、宅建士の試験問題に「未成年者は制限行為能力者である」なんて簡単な問題は出ません。
問題として出るのは・・・。
制限行為能力者行える法律行為の範囲やその法律行為の効果、取引の相手方の権利などが出題されます。
つまり、それぞれの制限行為能力者が単独で行える行為、法定代理人の同意・追認が必要な行為あるいは行為の取消、無効と言った法律行為の帰結などをしっかり覚えることが重要です。
宅建士の試験問題で、この制限行為能力者問題の出題頻度はそれほど高くはありません。
過去10年間の権利関係問題(140問)中、制限行為能力者の問題が出題されたのはたったの3問(平成22年、25年、28年各1問)でした。
ですので、「捨てても良い」と言う人もいます。
傾向で見れば『3年に一度」の出題ですが、28年度の3年後の平成31年(令和元年)に出ていないと言うことは・・・。
今年(令和2年)に出題される確率はかなり高いのではなかろうかと思います。
ただ、この問題はそれほど難易度は高くありません。
制限行為能力者が取引の相手方となった場合、その取引は有効な取引なのか、取消し可能なのか?と、言う視点で考えることです。
この辺りはテキストをじっくり読み込んでください。
では、チョット難しい問題が過去に出ていましたので解説します。
<平成25年度宅建士試験問題No.2>
「Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である」
結論:○(正しい)
未成年と言う言葉に、嫡出でないとか遺産分割協議なんて言葉が絡んできてチョット面倒な問題ですが、追認・無効と言う言葉で制限行為能力者の問題であることが判ります。
問題の肝は「未成年である相続人の母(法定代理人)が、遺産相続の協議に入る」と言うことです。
相続人は未成年ですから、このまま協議が進んで分割協議が合意されると相続財産は相続人の手に渡りますが、相続人は未成年ですから母親が管理することになります。
未成年は相続した財産の処分について法定代理人の同意がなければ出来ません。
と、言うことは相続人の母親が勝手に処分(現金なら消費する等)することが出来ちゃうわけです。
これを「利益相反行為」と言います。
この場合は「有効な追認」がなければ無効です。
あれ、待てよ?「追認」って法定代理人である母親がするのかな?それじゃ元も子もないないんじゃない?と思いませんか。
この場合は、「特別代理人」を選任するために家庭裁判所に申し立てを行なって、その特別代理人の「追認」がなければ無効と言うことなのです。